2025.05.22(木) 大会レポート
藤本佳則と皆本祐介――信頼で刻んだ58ストローク
ペア戦とはいえ、スクランブルゴルフは甘くない。 一打一打に“選択”が求められ、仲間との信頼が問われる。個々の技術はもちろんだが、それをどう生かし合うかが、勝敗を大きく左右する。
2025年4月9日、ABCゴルフ倶楽部。『スクランブルゴルフチャンピオンシップ in 神戸 2025』の舞台で、抜群の安定感と果敢な攻めを両立させ、見事優勝を果たしたのが藤本佳則と皆本祐介のペアだった。
自然なペア結成、自然な流れ
藤本が今回ペアに選んだ理由は明快だった。「皆本くんとは普段から一緒に練習しているし、スポンサーも同じ。仲がいいし、せっかくなら一緒にやろうと」。
日常を共有してきた2人だからこそ、大会という特別な舞台でも無理なく呼吸を合わせられた。前半29、後半29、トータル58ストローク。スコアが示す通り、安定感と爆発力が見事に噛み合ったラウンドだった。
それぞれの強み、それぞれの役割
前半は皆本の好調なパッティングが流れをつくり、後半は藤本が勝負どころで正確なショットを決めた。チャンスはしっかりとスコアに結びつき、ピンチは無理なく回避。言葉にすれば「理想的」となるが、そこには目立ちすぎない“役割分担”があった。
藤本は長年ツアーで培ってきた経験と判断力を、皆本は飛距離と勢いをそれぞれの武器として持ち寄った。
“いつもの仲間”と“試合で組む”ということ
「普段一緒に練習してる仲間と、こうして試合で組むと見えてくることもある。これはこれで、すごくいい経験でした」。
藤本の言葉が印象的だった。 “仲の良さ”だけでは成立しないのが勝負の世界。互いに信頼を寄せながら、緊張感の中でプレーする難しさと、そこから得られる気づき。その微妙なバランスを、2人は自然に受け止めていた。
「先輩がたくさん助けてくれました。本当にありがとうございます」。
皆本は静かにそう言った。派手なガッツポーズもなく、言葉少なではあるが、その表情には達成感と充実がにじんでいた。
飛距離という大きな武器を持ちつつも、プロ入り後は苦しい時間が長かった彼にとって、尊敬する先輩と、こうして結果を出せた意味は、きっと大きい。
表彰式のスピーチで、藤本は穏やかな笑顔で言った。「本当にいいゲームでした。また来年も呼んでもらえるように、今年一年頑張ります」。
その言葉からは、ベテランらしい落ち着きと、次に向けた前向きな気持ちが感じられた。
この記事を書いた人
MORIYA KIYOSHI
1974年|埼玉県生まれ|【経歴】JLPGA → Golf Life(株) 新規事業推進室 →いま Forever Golf 株式会社 代表/ Creative Producer| いつまでも豊かなライフスタイルを。ゴルフで笑顔が生まれる体験をプロデュースしています。