2025.05.31(土) 大会レポート
チーム『ひぐけんゴルフTV』の挑戦——悔しさの先に見えたもの
8連続バーディーの快進撃
お揃いのウェアに身を包み、言葉を交わしながらスターティングホールへと歩き出す。
YouTube「ひぐけんゴルフTV」で人気を博すプロゴルファーの樋口健太郎と、高校時代の後輩・石渡和輝。気負いのないやりとりから、互いの感覚を知り尽くした間柄が自然に伝わってきた。
『スクランブルゴルフチャンピオンシップ in 神戸 2025』。目指すは頂点。ふたりのティショットがリズムよく放たれた。
スタートホール、バーディーでの滑り出しが、そのまま快進撃の幕を開ける。
4番から9番まで6ホール連続でバーディーを奪い、前半を29で折り返す。後半も勢いは衰えず、10番・11番でもバーディーを重ね、圧巻の8連続バーディーを達成。息の合ったプレーが、そのままスコアカードに刻まれていく。
「僕があんなにバーディーチャンスを打てることはなかなかない。ショットが上手なプロと組んで、その感覚でパッティングできたのは本当に勉強になりました」。石渡への信頼と敬意が、ホールを重ねるごとに深まっていった。
『一生忘れない…』12番の試練
順調にスコアを伸ばしていたが、12番パー3で思わぬ展開。ふたりそろってバンカーにつかまり、ピンチを迎える。結果はボギー。石渡の横顔には、悔しさがにじんだ。「あれは……一生忘れないボギーですね」と唇をかんだ。
それでも集中力を切らさず、勝負に挑み続けた。17番パー4では、樋口のショットがピンそば2メートルに着弾。石渡が迷いなく沈めてバーディーを奪い返す。「落とせないというプレッシャーの中で、なんとか取れた。素直に嬉しかったです」と、樋口は安堵の表情を見せた。
続く18番パー5。最後のバーディーパットを沈めた樋口の背中に、ギャラリーからのエールが降り注いだ。
ファンの声援とともに刻んだ、かけがえのない一日
試合後、石渡はふっと笑みを浮かべながら語った。「自分を褒めるのはあまり得意じゃないんですけど……今日はちょっとだけ、いいプレーができたかもしれません」。
結果は5位。優勝には2打届かなかったが、ふたりの表情には、やりきったという確かな手応えがにじんでいた。
石渡は「ABCの試合には出場経験がなかったので、一度回ってみたいと思っていました」と振り返り、「グリーンも速く、試合さながらのコンディションでプレーできたのは、自分にとって大きな経験になりました」と言葉をつないだ。
もうひとつ、彼らに力を与えてくれたのが、会場に駆けつけてくれたファンの存在だった。樋口は「来てくれた皆さん、本当にありがとうございます。皆さんの応援に、何度も背中を押されました」と感謝を述べ、深々と頭を下げた。
そして、「日頃は一人でプレーするゴルフだけど、今日はメンタル面でもすごく面白かった。お互いに感情を共有できるって、いいよね」と語り、ふたりは顔を見合わせて静かに微笑んだ。
勝ち負けを超えて——。仲間とともに挑んだからこそ味わえた、ゴルフの奥深さが心に残った。
この記事を書いた人
MORIYA KIYOSHI
1974年|埼玉県生まれ|【経歴】JLPGA → Golf Life(株) 新規事業推進室 →いま Forever Golf 株式会社 代表/ Creative Producer| いつまでも豊かなライフスタイルを。ゴルフで笑顔が生まれる体験をプロデュースしています。